中国・湖北省武漢市で発生したコロナウイルスは、中国国内で多くの死者を出し、世界各地にも瞬く間に感染が拡がりました。
全国の各自治体が中国へ支援
国内で感染が拡大した中国へは、1月下旬から2月中旬にかけて、雪崩を打ったように日本の各自治体が支援を行いました。
2月6日には、香川県がN95マスク574枚などを陝西省へ、岡山市がN95マスク2万枚を河南省洛陽市へ、それぞれ送りました。N95マスクは0.3マイクロメートル以上の微粒子を95%以上カットできる高性能マスクです。
また、1月28日には東京都が防護服2万着を中国に送りました。さらに東京都は、自民党二階俊博幹事長の要請を受け、2月7日に防護服10万着を追加発送しています。
この他にも多数の自治体が中国への物資提供を行っています。
「支援」の時期は適切か
これらの自治体による“善意”そのものが悪いとは思いません。しかし、「なぜこのタイミングなのか?」という観は否めません。
日中双方のうち一方の国のみで疫病や災害などが発生した場合に、もう一方の余裕のある国が支援するというのならわかります。しかし日本は、1月15日の時点で国内でも初感染者が確認され、中国と同じく“感染当事国”となっているのです。
日本が感染当事国となった以上、自自治体が管轄する地域でマスクや防護服などの物資が不足しない保証は無いはずです。また、自自治体に余裕があり他に融通するにしても、せめて国内に限定すべきです。国内の他自治体や他地域の医療機関で物資が不足した場合に備え、物資は取っておくべきだったのではないでしょうか。
実際、香川県や岡山市が中国へ送ったN95マスクは、日本国内の医療機関でも不足状態に陥りました。中国に送ったものを国内に提供していれば、国内の不足状態は多少なりとも改善された可能性があります。
人助けをするにも、まず自分が“健康体”でなければなりません。あまりに“自己犠牲”や“利他主義”が過ぎると身を滅ぼし、結局は人助けができなくなってしまいます。
国際協調とて同じことが言えると思います。日本の行政は、先ず国内での感染収束に一定の目処を付けることに注力すべきでした。中国への支援は、日本に余裕ができてからでも遅くはなかったと思います。
中国の蛮行を忘れてはならない
また、日本側に先に余裕ができたとしても、中国に優しさを見せるのは一時的にすべきです。
中国当局は、香港等への弾圧や尖閣周辺での領海侵犯といった“蛮行”をやめる気配が無いからです。
中国国内でコロナが収束したのちは、こういった中国の蛮行を断固として糾弾していくべきではないでしょうか。
(了)
主な参考元
テレビせとうち公式サイト
「新型コロナウイルス感染拡大で 中国・洛陽市へ マスク送る」
2020.2.6
URL(https://www.webtsc.com/prog/news5/news/9391/)
デイリー新潮
(週刊新潮 2020年2月27日号掲載)
「新型コロナで中国にマスクを提供 困った時はお互いさま?支援に賛否」
URL(https://www.dailyshincho.jp/article/2020/02280800/?all=1)
jiji.com
「N95マスク、着用に向かず 「一般人は不織布で」―新型肺炎で専門家」
2020.2.10
URL(https://www.jiji.com/jc/article?k=2020021000112&g=soc)
厚労省ホームページ
「新型コロナウイルスに関連した肺炎の患者の発生について(1例目)」
2020.1.16
URL(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08906.html)
産経ニュース
「医療マスク「不足解消を」 神奈川県知事が要望」
2020.2.21
URL(https://www.sankei.com/life/news/200221/lif2002210107-n1.html)